ゲーム制作で動きを出す際、3Dはもちろんのこと2Dアニメーション・2Dモーションも広く利用されています。
2Dアニメーション・2Dモーションは、原画イラストのイメージを損なわずにキャラクターをデザインできるメリットがあり、多くのゲームで利用されているのです。
では、ゲームの2Dアニメーション・2Dモーション制作はどのような流れで行われるのでしょうか。
今回はゲームの2Dアニメーション・2Dモーション制作について、よく使われているツールの違いなどを、ジーアングルの2Dアニメーション制作担当のコメントを交えて解説します!
2Dアニメーション・2Dモーションとは
「2D」とは縦と横の空間しかない、2次元の世界を指します。
つまり2Dアニメーション・モーションとは、2次元で作成したイラストに動きをつけた制作物を指します。
ゲームにおける2Dアニメーションではキャラクターの動きなどを指すのが一般的で、会話シーンの表情や身振り、戦闘シーンでのアクションが当てはまります。
また、2Dアニメーション・モーションは3Dとは異なりイラストを利用することから、元のイラストイメージを損なわず動きをつけられるのが最大の特徴です。
ゲームで3Dではなく2Dアニメーションを使うメリット
まず、3Dと比較した場合の2Dアニメーションのメリットには、主に以下があります。
3Dと比べた場合の2Dアニメーションのメリット
- 予算や制作期間を抑えられる
- 元イラストの雰囲気そのままに動きを付けることができる
- 細かい表情の違いなど、キャラをより魅力的に見せられる
- 3Dよりもマシン(スマホなど)への描画負荷が少ない
あくまで3Dと比べてにはなりますが、2Dアニメーションは制作期間が短く、費用を抑えられるメリットがあります。
また、元イラストのイメージそのままに動きをつけられるため、2Dイラストの持つキャラクターの魅力を、動きによって細かく表現することが可能。
加えて、スマホなどユーザーの使う機器への描画負荷が少ない点も魅力です。
特にスマホのアプリゲームにおいては、ユーザーによって使う機器が違うのが当たり前。
同じゲームでも人によってはスマホが熱くなってしまったり、重すぎて遊べないこともあります。
2Dアニメーションは3Dに比べてデータが軽く、描画負荷を抑えられるので、機器の処理力によるユーザー体験の違いを小さくすることができます。
ゲーム2Dアニメーション・モーション制作によく使用されるツール
ゲーム2Dアニメーション・モーションを制作する際に目にし、実際よく使われるのが「Spine」と「Live2D」です。
ここではSpineとLive2Dについて、その違いに着目しながらご紹介します。
Spine
Spineとは、Esoteric Softwareが販売しているゲーム用の2Dアニメーションツールのことです。
特徴として、3Dアニメーションでも使用される「ボーン」と呼ばれる骨組みをイラストに入れることで、キャラクター等に動きをつける点が挙げられます。
細かなモーション設定によって自由度の高い動きを付けることができ、キャラクターを大きく曲げ伸ばしすることも可能。
人間以外のモンスターの迫力ある動きを表現することも得意とします。
一方で、Live2Dのような立ち絵イラストの細かい表情やしぐさを表現するのは、作ること自体は可能ですがやや苦手としています。
「Spine」は英語で脊椎、「ボーン」は骨を意味するように、骨組みから動かすようなダイナミックなモーションが得意です。
歩く、走るなどの動きはもちろん、戦闘アクションなどキャラクターが大きく動く場面に適しています。
Spineの特徴
- 買い切りのアメリカ製ツール
- 体を大きく動かすキャラクターアクションが得意
- 国内外問わず、ゲームの2Dモーションで広く採用されている
メリット |
ボーン機能の自由度が高く、戦闘など動きの大きいキャラクターアクション向き 人型以外のモンスターも迫力のある動きを作ることができる 3Dアニメーション制作経験のある人が触りやすい |
デメリット |
日本語資料が少ない できなくはないが、Live2Dのような表情やしぐさなどの細かな表現は苦手 |
Spineは行動範囲を決めずに、作りたい動きをその場で作ってアニメーションに落とし込んでいくのが、Live2Dとは違う点だと感じます。
2Dアニメーションを作るなら、Spineのほうが作りやすいですね。
Live2D
Live2Dは元の2Dイラストのイメージ・質感をそのままに、立体的な動きを付けられるのが特徴の、日本製アニメーションツールです。
Live2Dは一枚のイラストをパーツごとに切り分け、切り分けたパーツそれぞれにパラメーター(可動範囲)を設定してから全体の動きを作っていく、という流れをとります。
細かなパーツの切り分けによってモーションキャプチャにも対応しやすいことから、Vtuberで頻繁に採用されているのも特徴のひとつでしょう。
一方、Live2DにもSpineのボーンと似た役割の「回転デフォーマ」という機能がありますが、Spineのようなダイナミックなアニメーションは少し苦手です。
パーツごとに細かい動きの設定ができるので、特に表情やしぐさなど、キャラクターを魅力的に見せたい場面で活躍するでしょう。
Live2Dの特徴
- サブスク型の日本製ツール
- 表情やしぐさなど、キャラクターらしさの表現が得意
- Vtuberによく採用されている
メリット |
日本語資料が豊富 元イラストのイメージそのままに動きをつけることができる 細かな表情変化のあるゲームやVtuberモデル向き |
デメリット |
できなくはないが、Spineのような大胆な動きの表現は苦手 |
普段からイラストを描く身からすると、Live2Dのほうが使いやすいと感じます。
ただ、動きの範囲を作ってからアニメーションにするので、先々の動きをイメージしながら設定していかないといけないのが難しいです。
■ Live2Dについて詳しくはこちら!
SpineとLive2Dの違い
前提としてSpineもLive2Dも同じような2Dアニメーションの制作は可能ですが、主に以下の違いがあります。
SpineとLive2Dの違い
- 動き、アニメーションを作る手順の違い
Spine … 主となる骨格(ボーン)を設定し、パーツを微調整しながらその骨格に沿った全体のアニメーションを作る。
Live2D … パーツごとに可動範囲を設定してから(始点と終点の形を作り、その間を埋めるように動きを作る)、アニメーションを作る。 - 得意なアニメーションの違い
Spine…バトル・アクションなどの大きな動き、人間以外の動き
Live2D…キャラクターの細かい表情やしぐさ - Spineはアメリカ製、Live2Dは日本製
日本人はLive2Dのほうが資料が多く触りやすい - 操作画面の違い
Spineは3D制作でも使われる「メッシュ」や「ボーン」の概念により、立体的で迫力のある3Dに近い2Dアニメーションになります。
Live2Dはモデリングの過程でイラスト制作のような操作もあるなど、「イラストを動かす」ことに特化しています。
どちらでも同じ2Dアニメーションを作ることはできますが、
Spineはいわゆる2Dアニメーション作成、Live2Dは主にモーションキャプチャが必要なVtuberモデル作成といったように、
用途に応じて使い分けると違いがよくわかる印象ですね。
Spineは都度面を合わせるVtuberモデルのような、使うシチュエーションへの汎用性を出すのが苦手な代わりに、表現できる動きの幅広さで個性を出すのがポイント。
Live2Dはモーションキャプチャ前提なところがあるので、トラッキング対象が動いた時の面を、どれだけ自然に作れるかがポイントだと思います。
Q. ゲーム2Dアニメーション向きなのはSpineとLive2Dどっち?
ここまででご紹介してきたように、SpineとLive2Dの2Dアニメーション制作には特徴があります。
ゲームといってもアクションゲームなのか、RPGなのか、育成ゲームなのかによって見せたい動きが変わります。
先ほどと重複してしまいますが、
ゲーム2D=SpineまたはLive2DというよりはアクションシーンにはSpine、会話シーンのキャラ立ち絵やVtuberモデルにはLive2Dなど、
作りたい場面に合わせて各ツールを使い分けることが、より魅力的なゲーム演出に繋がると思います!
その他のツール
ジーアングルでは使用していませんが、ゲーム2DアニメーションはSpineやLive2D以外にも、SpriteStudioやMoho、E-mote、Adobe Aftereffectsでも作成可能です。
イラスト作成ソフトのCLIP STUDIO PAINTでも2Dアニメーション制作が可能であるなど、制作ツールは意外と多いのですが、やはりSpineとLive2Dが使いやすい・作りやすいことからもっとも採用されるツールといえます。
ゲーム2Dアニメーション・2Dモーション制作の流れ
ここではゲーム2Dアニメーションの流れをご紹介します!制作の流れは大きく分けて5つ。順番にご紹介します。
【1】絵コンテ・Vコンテ制作
まず、どんな動きをさせるのかを決める絵コンテ制作から始めます。
セルアニメと同じようにシーンごとの大まかな動きを決めていきます。
ここで絵コンテに動きを付けるVコンテ(ビデオコンテ)も作成すると、完成のイメージがしやすくなります。
【2】イラスト制作
どんな動きをさせるのかが決まったら、動かしたいキャラクターなどのイラストを作成します。
キャラクターデザイン、着彩など、パーツ分けする前の原画を作成する流れです。
ご依頼内容にもよりけりですが、2Dアニメーションに落とし込む前提でイラストを作成する場合、この段階でおおまかなパーツ分けをする事が多いです。
【3】パーツ分け
原画イラストができたら、キャラクターの動きを出すためにパーツ分けも行います。
特にLive2Dでは細かいパーツ分けがよりなめらかな動きに繋がります。
Spineはボーン制御になるため、関節部分などよく動くパーツのみ分けておくほうが作りやすいです。
また、イラストを動かした際に違和感がないように、イラストの塗り足しや描き足しといった作業もここで行われます。
動かす範囲を想像しながらパーツ分けをしていきます!
関節だったり、髪の毛や服の裾といった揺れもの、まつ毛や瞳といった顔の細かいパーツなど…
時間はかかりますが、分ければ分けるほど滑らかに動くので大事な工程です。
【4】モデリング
続いてモデリングです。作りたい動きに合わせ、イラストに動きを与えていきます。
Spineならボーンを設定していく工程、Live2Dなら各パーツに可動範囲を設定していく工程がこれにあたります。
作りたい動きを想像しながらボーンやメッシュを付けていきます。
Live2Dの場合、ここに各パーツのパラメーター付けが入ります。
Live2Dで2Dアニメーションを作るときはパラメーター付けで今後の動きが決まるので、この工程が一番こだわっているところですね。
【5】アニメーション制作
モデリングが完了したらキャラクターに動きをつけていきます。
キャラクターの主な動きによって引き起こされる髪の揺れや、走る前の踏み込みといった予備動作を加えると、よりリアルな映像を作ることが可能です。
自然に、かつ魅力的に見えるよう意識して作成します。
重力がかかっているように動かしたり、合わせて揺れる髪の緩急、動きの余韻を細かく作っています。
歩きモーションの例をお見せすると…
こんな感じで、比べてみると違いをおわかりいただけるのではないでしょうか。
今回は地に足がついている事を表現したかったので、重力感・体重の重みを加える方向で調整していきました。
体格のいいキャラクターなら、どっしりとした歩き方をさせることで筋肉質なイメージを持ってもらいやすいと思います。
一方で、体格のいいキャラクターにあえて軽やかな歩きモーションを採用すると、また違った個性を表現することもできますよね。
このように、イラストに魂を宿す大事な作業なので、大変ですが楽しいところです!
Spineだとパラメーター付けの工程がないので、ここに一番こだわっています。
ゲームにおける2Dアニメーション制作で大事なこと
「キャラクターが魅力的に見えるよう動きをつけること」に尽きると思っています。
例えば、瞳の動きに細かい物理演算をあえて足すことで、表情を細かく表現したり…
キャラクター(動物や小物の場合もありますが)によって特徴的な動きは違いますし、
表情で魅力を出すべきキャラなのか、身振り手振りで魅力を出すべきキャラなのかなど、いろいろなバリエーションがあります。
キャラクターの個性や、表現したい特徴をクライアント様にしっかりヒアリングするのはもちろんのこと、
「この子はこういう動きをした方がもっと素敵になる!」というのを自分でとことん考えて、キャラクターに向き合うのが2Dアニメーション作りで大切なことだと思います。
制作工程は大変ですが、達成感と楽しさがたくさん詰まっています!
ジーアングルの2Dアニメーション・2Dモーション制作実績
ゲームに登場するキャラクターやカードは大量の制作が必要となるため、ゲームの2Dアニメーション・2Dモーション制作は、制作会社に依頼するのがおすすめです。
特に実績豊富な制作会社であればあるほどさまざまな経験を積み、ノウハウを蓄えているため、理想に近いクオリティに仕上げてくれる可能性が高いといえます。
ジーアングルでは2Dアニメーション・2Dモーションの制作を多く行っております。モーション制作だけではなく、イラスト制作やキャラクターデザインの実績も豊富です。
ここでは、ジーアングルの制作実績をご紹介します。
ダンまち メモリア・フレーゼ 6周年記念PV
スマートフォンRPG『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~メモリア・フレーゼ~』の6周年PV制作、PV内効果音を一部担当いたしました。
■ 制作実績
ダンまち メモリア・フレーゼ 6周年記念「偉大冒険譚 オルギアス・サガ」PV
「ひだまりショウガ」紹介映像
温活サプリメント「ひだまりしょうが」の紹介映像制作のご依頼をいただきました。
■ 制作実績
「ひだまりショウガ」紹介映像
ヘブンバーンズレッド
『ヘブンバーンズレッド』ゲーム内の楽曲をリズムゲームで楽しめる新機能“ライブモード”の譜面制作、一部プロモーションビデオ及び一部ゲーム内イベントシーン、一部スチル、カードイラスト、背景の清書工程を担当いたしました。
■ 制作実績
ヘブンバーンズレッド
武士来舞(BUSHILIVE) ‘Rock繚乱’ Official MV
「武士来舞(BUSHILIVE)」初となるオリジナルシングル「Rock繚乱」MVのご依頼をいただきました。
■ 制作実績
武士来舞(BUSHILIVE) – ‘Rock繚乱’ Official MV
2Dアニメーション・2Dモーションの制作費用
2Dモーションの制作費用は、絵コンテからモーション制作まで一括して依頼する方法と、絵コンテやイラスト作成のみ対応など制作工程ごとに依頼する方法があります。
ジーアングルの2Dモーションの制作費用は、製作工程ごとに分かれています。そのため制作全般はもちろん、一部工程だけの依頼も可能です。
ジーアングルの2Dモーションの制作費用は以下のとおりです。
金額 | |
---|---|
絵コンテ | 80,000円~ |
キャラクターイラスト制作 | 70,000円~ |
イラスト パーツ分け | 50,000円~ |
モデリング | 50,000円~ |
モーション制作 | 80,000円~ |
※すべて税抜き価格
ゲームの2Dアニメーション制作はジーアングルへご相談ください!
クオリティや細かい要望を反映させたいなら、ゲームの2Dアニメーション制作は制作会社への依頼がおすすめです。
ジーアングルではSpine、Live2Dを使用したゲーム2Dアニメーション制作を承っています。
綿密かつスムーズなコミュニケーションでお客様のご要望をしっかりと汲み取り、高いクオリティのゲーム2Dアニメーションをご提供いたします。
ジーアングルのゲーム2Dアニメーション制作の強み
- 2Dモーションを内製できる体制あり
- イラスト制作、デザイン制作からできる
- 絵コンテ、アニメーション(動き)の設計から可能
- 丁寧なヒアリングで疑問、不安なく制作できる
3DCGの制作も行っておりますので、「2Dモデルと3Dモデルどっちがいいんだろう?」と悩んでいる方も、ぜひご相談ください!
まとめ
ゲームの2Dアニメーション・2Dモーション制作について解説しました。
世界観やキャラクターについてしっかりと理解し、アニメーションでどう個性や魅力を表現するかが大切です。
ゲーム制作をお考えの方は、制作実績が豊富な制作会社にイラスト制作や2Dアニメーション・2Dモーション制作を依頼してみてはいかがでしょうか。
イラストだけでも十分魅力的なキャラクター・世界観に、動きをつけたらさらに魅力が伝わるゲームになるのではないでしょうか。
ゲームのキャラクターに命を吹き込みたい方は、ぜひジーアングルにご相談ください!